2024年5月27日に大気化学に関連する優秀な論文として、理学部の島田幸治郎助教が第2回(2023年度)日本大気化学会論文賞を受賞しました。
授与式は、日本地球惑星科学連合2024年大会にて行われました。
第2回(2023年度)論文賞
Shimada, et al. (2020), Degradation of PAHs during long range transport based on simultaneous measurements at Tuoji Island, China, and at Fukue Island and Cape Hedo, Japan,
Environmental Pollution, 260, 113906.
【選定理由】
Shimada et al. (2020)は中国Tuoji島、長崎福江島、沖縄辺戸岬の3か所においてPAHsの同時観測を行い、長距離輸送されるPAHs の分解過程を定量化した。その結果ベンゾ[a]ピレンの寿命がオゾンによる分解から予想される寿命よりもはるかに長いことを見出し、この現象を二次有機エアロゾルのコーティングとして説明し、さらに長距離輸送には粘性の高い石炭燃焼起源の二次有機エアロゾルの寄与が大きいことも見出した。
本研究は広く大気科学へインパクトを与え、国際評価も高い国際共著論文であると評価できる。以上の理由により、本論文に対し同賞を授与する。
<受賞者コメント>
本国際共同研究は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の戦略的国際科学技術協力推進事業「日本-中国(MOST)研究交流」で実施された「吸収性エアロゾル(EC)と散乱性エアロゾル(OC、金属成分、イオン成分)の分布と化学成分の変化による影響の解明」の研究成果になります。
本研究は、日本と中国の研究拠点は沖縄辺戸岬とTuoji島で行われました。
沖縄辺戸岬には辺戸岬 大気?エアロゾル観測ステーションがあります。このステーションは
大気汚染と気候変動の両方を調べることができる国際的に開けた大気観測ステーションです。
この大気観測ステーションは、国連の機関である国際環境計画(UNEP)から重要拠点ステーションの認定をうけています。UNEPから日本の大気観測ステーションで、このような認定を受けている大気観測ステーションは沖縄辺戸岬にしかありません。これを機に、多くの人に覚えていただければと願うばかりです。
今後は、沖縄を拠点とした国際共同研究から、大気汚染と気候変動の解明に取り組んでいきます。
授賞式の様子(島田助教と金谷有剛学会長)
島田助教と研究室のメンバー:後列左から北條就三さん(学部4年次)、小牟田ニキータさん(学部3年次)、大保元輝さん(学部4年次)