国際地域創造学部経済学プログラムの星野教授(日本経済史)が、第1回金沢大学宮本賞(図書の部)を受賞しました。2024年11月6日に金沢大学で開催された授賞式および講演会に参加し、賞状を授与されました。
【受賞内容】
〇図書の部
受賞者:1名(応募件数:5件)?
氏 名:星野 高徳 氏(琉球大学国際地域創造学部?教授)?
題 名:『屎尿処理の近現代史―汲取から下水処理への転換』?
日本経済評論社,2024年
(参考)?
金沢大学:「第1回金沢大学宮本賞受賞者を決定」?
金沢大学:「第1回金沢大学宮本賞授賞式?講演会を挙行しました」?
〇授賞理由?
本書は、19世紀末から20世紀前半の東京市、大阪市、名古屋市における屎尿処理に焦点を当て、屎尿の経済的価値が変化した要因、東京市、大阪市、名古屋市の介入過程を明らかにするとともに、戦後の下水処理化の過程について考察した研究書です。屎尿といういわば「下流」のリサイクルを歴史的にとらえ、現在の課題までつなげた意欲作であり、同様の課題を掘り下げた類書がほとんどないテーマの着眼点、広範な関連文献からの情報収集、当時の報告書や統計等を用いたオリジナリティの高い研究だと評価されました。
【受賞者のコメント】
第1回金沢大学宮本賞(図書の部)を受賞し、大変光栄に思います。受賞書籍『屎尿処理の近現代史――汲取から下水処理への転換』は、大学院生の頃から研究してきた屎尿処理政策の変容過程についてまとめたものです。戦前の東京市、大阪市、名古屋市における屎尿処理の事例や戦後の下水道整備の過程を検討することにより、各都市が衛生的で経済的な処理方法を模索した過程を明らかにしました。今後は那覇市などの国内の都市や国外の事例にも研究対象を広げながら、これまで研究してきた衛生問題に関する研究を深めていきたいと思います。今回の受賞を励みに大都市の屎尿処理にとどまらず、環境、地方自治の分野にも貢献できるよう、研究を続けていきたいと思います。
授賞式の様子?
<第1回金沢大学宮本賞とは>
金沢大学では、財政、地域、自治、環境に関する社会科学の分野で顕著な業績を挙げた研究者を顕彰し、社会貢献と日本の学術研究のさらなる発展に資することを目的として、金沢大学宮本賞を創設いたしました。?
宮本賞は、本学の前身校の一つである旧制第四高等学校出身の宮本憲一氏からの御寄附を原資としています。宮本氏は、金沢大学、大阪市立大学、立命館大学で教鞭を執られたのち、滋賀大学学長をつとめられました。財政学、地域経済学、自治論、環境経済学など広範な分野で常に時代の最先端となる研究に取り組み、各分野において最高峰の業績を挙げるだけではなく、公害問題やまちづくりなどに取り組む多くの市民活動に貴重な理論的指針を与えてきました。?
ついては、宮本氏に敬意を表するとともに当該分野の研究や市民活動のさらなる発展に資することを目的に、「第1回金沢大学宮本賞」を募集いたします。?
(第1回金沢大学宮本賞募集要項より)?
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2024/06/event_file1.pdf?